先ず、グラフの伊原ゼータ関数の定義と行列式表示を述べる。次に、伊原ゼータ関数の 一般化の一つであるweightedゼータ関数について、定義とそれらの行列式表示を与える。 その応用として、離散時間量子ウォークの一つであるGrover walkの時間発展行列(Grover行列)に 関する今野-佐藤の定理を与える。また、今野-佐藤の定理の応用として、Grover/Zeta対応について 述べる。最後に、伊原ゼータ関数の別の一般化であるalternatingゼータ関数を 定式化して、その行列式表示を用いて、Alternating Walk/Zeta対応について触れる。
数理論理学における古典的結果である(各種論理・形式系の)健全性定理・完全性 定理により、様々な設定のもとで、「命題Aの数学的証明の非存在」と、「Aが破れ ているモデルの存在」とは同値である。これは、組み合わせ論的対象である「証明」 と、代数的対象である「モデル」とを結び付けており、興味深い。では、「命題Aの 長さn以下の証明が存在しない」ことを言うには、どんな対象の「存在」を言えば よいだろうか? 本講演では、数理論理学の一分野、Proof Complexityにおける重要な考察対象であ るresolution, Nullstellensatz proof system, Frege systemについて、この観点 から紹介を行い、応用として、(命題論理における)鳩の巣原理の証明の長さにつ いての知見を概観する。 また、この中でも特にゲームの概念を用いた論法により、(数理論理学内の別分野 である)順序数解析の古典的結果が再解釈できることについても触れたい。
(講演スライド)