量子ウォークにおいて最も研究されているグローヴァ―ウォークとゼータ関数は, 今野-佐藤の定理により,結びついていることが知られている.Komatsu, Konno and Sato (2021a) では,今野-佐藤の定理を用いて,flip-flop 型のグローヴァ― ウォークとその正台に対する一般化ゼータ関数と一般化伊原ゼータ関数の有限グ ラフの無限列の極限に関する明示的な式を与えた.さらに,Komatsu,Konno and Sato (2021b) では,今野-佐藤の定理を用いずともフーリエ解析の手法によりd次 元トーラス及びその列の極限において,ランダムウォーク,相関付ランダムウォー ク,量子ウォークなどを含む広いクラスのウォークに対して,ゼータ関数が計算 できることを明らかにした.これらの関係はウォーク/ゼータ対応と呼ばれている. 今回の講演では,先行研究で扱われているモデルの幾つかをさらに拡張したモデ ルに対して,ゼータ関数の計算を行ったので,その結果について紹介する.例え ば,そのことにより,Inui and Konno (2005) で研究されていたモデルにおける 局在化の観点からの位置付けも明らかにすることができた.また,グローヴァー 行列とその正台を統一的に扱うモデルの結果についても紹介する. 参考文献 [1] T. Komatsu, N. Konno and I. Sato, Grover/Zeta Correspondence based on the Konno-Sato theorem, Quantum Information Processing, 20, 268 (2021), arXiv:2103.12971 (2021a). [2] T. Komatsu, N. Konno and I. Sato, Walk/Zeta Correspondence, arXiv:2104.10287 (2021b). [3] N. Inui and N. Konno, Localization of multi-state quantum walk in one dimension, Physica A: Statistical Mechanics and its Applications, 353, 133-144 (2005)
辺着色されたグラフとは各辺に色が割り当てられたグラフのことである. また,辺着色されたグラフがproperであるとはどの隣り合う2辺も異なる色で塗られていることである. 本講演では辺着色されたグラフがproperな特別な構造を持つための条件や予想について紹介する. また,マトロイドとの関係性,特にRotaのbasis予想に対するグラフ的なアプローチなどを簡単に紹介する.