次のようなグラフ上のn人非協力ゲームを考える. ・各プレイヤーはグラフの頂点の1つを選択する. ・各頂点には顧客がおり,それぞれグラフ上の距離で最も近いプレイ ヤーが獲得する.(複数のプレイヤーが等距離にある際には折半する.) ・獲得した顧客数をプレイヤーの利得とする. このようなゲームにおいて,純粋戦略ナッシュ均衡が存在するかど うかを考える.このゲームに対して,2人ゲームの場合でも純粋戦略 ナッシュ均衡が存在しないことがあることが知られている(D\"urr and Tang 2007)が,今回は,このゲームにおいて,グラフの直径が2以下で あれば常に純粋戦略ナッシュ均衡が存在することを示す. (付記:「プレイヤー数2の場合に」の条件を追加。) 本研究は筑波大学の繁野麻衣子氏・竹原令依子氏との共同研究です.
折紙は一枚の紙を切り貼りせず,折るだけで形を作る伝統的な遊び・芸術として 知られているが,コンピュテーショナル・オリガミという折紙の幾何学とアルゴ リズムの研究分野が近年発展している。 また,折紙は一枚のシート材料からの立体形状の成型や,可動屋根や仮設シェ ルター,宇宙における展開構造物などへと応用可能であり,「折紙工学」として 着目されている。 本発表では,折紙を工学デザインに生かすためのコンピュテーショナルな手法 と,形状探索のためのインタラクティブなデザインシステムについて,デモンス トレーションを中心に概説する。
マトロイドの基の情報から決まる0次元Gorenstein環について考える. この環を用いることで, 有限体上の有限次元線形空間の部分空間束の Sperner性 についての環論的証明を与られる事等を紹介する. 本講演は前野俊昭氏(名城大学)との共同研究に基づく.
エルハート多項式とは、整凸多面体をm倍に膨らませたものの整数点の個数の ことである。 最近では、エルハート多項式の根に関する研究が行われていて、 “任意の整凸多面体のエルハート多項式の根の実部の絶対値は 整凸多面体の次元以下である” という予想がある。 本講演では、smooth Fano 多面体を具体的に構成し、トーリックイデアル、グ レブナー基底と関連付けながら根の予想について見ていく。 本研究は大杉英史先生(立教大)との共同研究である。
無向グラフGが長さkのサイクルC_kを含まないが,Gの任意の非隣接な2頂点間に枝を 加えるとC_kを含むとき,GをC_k-飽和グラフという.n頂点のC_k-飽和グラフの最小 枝数をsat(n,C_k)とかく.これまでに,k=3,4,5に対するsat(n, C_k)の値が分かっ ているが,kが6以上のときは,任意のkに対しての上下限が分かっているだけである. そこで,本発表では,k=6のときのsat(n,C_6)のよりタイトな上下限を示す.まず, C_6-飽和グラフを構成することで,sat(n, C_6)の上限を示す.この上限は,n=9,10,11 のときにsat(n, C_6)に一致することが分かっている.次に,最小次数が2である C_6-飽和グラフの最小枝数の下限を証明し,この下限の結果と証明方法を利用し sat(n,C_6)の下限を導く. 本研究は筑波大学の羅松氏・繁野麻衣子先生との共同研究である.
有限集合上の単調拡張作用素と根付きサーキット系が 1対1対応することを示す。その特別な場合である、閉包作用素、 交換律、反交換律の特徴付けを示し、そこからマトロイド、 凸幾何の特徴付けを導く。