組合せ数学セミナー
発表内容の概要


6/13(金): 八森正泰(筑波大学)
Nonpureな単体的複体のpartitionabilityとh-triangle

単体的複体の面ポセットがファセット(極大面)を上端とする区間で分割で
きることをpartitionableといい、これはshellableより弱い性質にあたる。
単体的複体がpure(ファセットの次元がすべて同じ)であるときには
partitionabilityはh-vectorの非負性を導くが、nonpureな場合にはh-vector
やそのnonpure版にあたるh-triangleの非負性は保証できない。Nonpureな
場合には、partitionabilityを強めたlayer-compatibly partitionable
という性質を満たす場合にはh-triangleの非負性が導かれる。
このlayer-compatibly partitionableとpartitionableの間にはsequentially
partitionable, ps-partitionable, という中間的な強さの性質があり、
本講演ではlayer-compatibly partitionableからpartitionableまでの各性質
に対応するh-triangleの性質や、それらの間の関係について議論する。


7/11(金): 水沼柚人(千葉大学)
組合せ論的グループテストのための二値行列構成法

disjunct行列は組合せ論的グループテストと呼ばれる分野において重要な役割を
担っている二値行列であり、その構成法や理論的な限界に関する理解を深めるこ
とは当該分野における主要な課題の一つとなっている。本講演では、まず組合せ
論的グループテスト理論を概観し、disjunct行列に関する既知の性質や構成法を
紹介する。その後、general inhibitor modelと呼ばれる特殊なグループテストの
モデルを導入し、このモデルに適した性質をもつdisjunct行列の効率的かつ決定
的な構成法を提案する。


7/18(金): 浅井大晴(早稲田大学)
精度保証付き数値計算と離散数学:計算機援用証明の可能性

精度保証付き数値計算は、数値計算における誤差を数学的に厳密に評価・制御
し、その正しさを保証するための数値的枠組みです。近年では、純粋数学の問
題に対する計算機援用証明にも活用されつつあります。本講演では、精度保証
付き数値計算の基本原理と理論的背景を紹介し、離散数学、特に組合せ論やグ
ラフ理論における応用の可能性について概観します。さらに、連続的な解析手
法と離散的構造との橋渡しを目指す今後の展望についても議論します。


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